離婚とお金

離婚とお金

離婚をしようとする際に生じるお金の問題には、主として、
①財産分与
②慰謝料
③養育費
④年金分割
⑤婚姻費用
の5つがあります。

  • 1. 財産分与

     
    (1) 財産分与とは
    婚姻中に夫婦が協力し合って取得した財産は、その名義を問わず、実質的には夫婦が共同で取得した財産(実質的共有財産)であると評価できます。この実質的共有財産を離婚に際して分与する制度が、財産分与です。
    (2) 財産分与の額
    名義のいずれかを問わず、婚姻中に築いた財産のうち離婚時(別居が先行する場合には別居時)に現存するものを2分の1ずつ分配するのが一般ですが、夫婦間の合意によって、これと異なる定めも自由にできます。
    預貯金、不動産、車、株式等の有価証券はもちろん、生命保険や学資保険の解約返戻金も分与の対象になりますし、退職金も場合によっては分与の対象になります。結婚前から有していた財産や相続・贈与によって得た財産等は分与の対象から除かれます。 借金等のマイナスの財産がある場合、それが夫婦共同生活を維持するためになされたものであれば、プラスの財産の総額からマイナスの財産の総額を控除した残額を分け合うことになります。
    (3) ローンの残っているマイホームについて
    よく問題になるのは、ローンが残っているマイホームです。
    ア マイホームの時価がローン残高を上回っている場合には、
       a 売却してローンを返済し、残った代金を分配するか、
       b 一方がマイホームを取得し、時価とローン残額の差額の半分を他方に支払い、以後マイホームの取得者      が残ローンを支払っていく等の解決が可能です。
    イ ローン残高がマイホームの時価を上回っている場合には、財産分与の対象にしないというのが判例の立場ですの  で、原則として、マイホームとローンの名義人がマイホームもローンも引き受けることになります。
  • 2. 慰謝料

    (1) 慰謝料とは
    精神的苦痛を慰謝するため、不貞などの離婚原因を作った夫婦の一方から他方に支払われる賠償金をいいます。
    (2) 慰謝料の額
    慰謝料の額は、婚姻期間、離婚原因(不貞等)の態様や継続期間、離婚に至った責任の軽重等を総合的に考慮して決められるもので、明確な基準はありません。平均200~300万円程度と言われていますが、100万以下の事例も多数見られます。
  • 3. 養育費

    養育費についてはこちら >
  • 4. 年金分割

    年金分割には、合意分割制度と3号分割制度の2つがあります。

    (1) 合意分割制度
    合意分割制度とは、離婚をした場合に、当事者の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。婚姻期間中の厚生年金記録があれば請求が可能です。按分割合については、まず当事者で話し合い、話し合いがまとまらない場合には、裁判所が定めます。離婚した日の翌日から起算して2年以内に手続きを行う必要があります。
    (2) 3号分割制度
    3号分割制度とは、平成20年5月1日以後に離婚をし、以下の条件に該当したときに、国民年金の第3号被保険者(専業主婦)であった方からの請求により、平成20年4月1日以後の婚姻期間中の3号被保険者期間における相手方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、当事者間で分割することができる制度です。婚姻期間中の平成20年4月2日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録があれば請求が可能です。按分割合は2分の1と定められているので、当事者の合意等は不要ですが、合意分割と同様、離婚した日の翌日から起算して2年以内に手続きを行う必要があります。
  • 5. 婚姻費用

    婚姻費用 婚姻費用とは、夫婦がその収入・資産・社会的地位等に応じた通常の社会生活を維持するために必要な一切の費用をいいます。別居中であっても、夫婦の一方は、相手方に対し、婚姻費用の分担請求として、自分や未成年の子ども達の生活費を請求することができます。 離婚成立までにしばらく別居状態が続くこともありますので、長期戦に備えるため、まずはこの婚姻費用の分担を請求し、別居中の生活の基盤を確保することをお勧めします。

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